櫻山居

Project by: ©Studio Curanzio

Collaborators: Photos by ©清水向山

Date: 2011

Project location: 岡山県

瀬戸内のたおやかな海を望む牛窓の高台に立つ個人邸。設計のコンセプトは『大地に根付く百姓の家』周辺の環境から飛び出せず『うずくまる』ように根を張った力強い住まいを目指した。施主は、すべてが揃う都市の利便性よりも、少しばかり不便だが自然と共に生きていることを実感できる住まいと土地を選んだ。

そこで必要なことは、日々変化する陽の光の妙味、力強い大地が作る食物、木々の生命力、鳥達のさえずりの違いを実感できる、自然と共にある空間であろう。

そして周辺環境と共に住まいが、いい意味で朽ちていくこと。つまり、家も人も『うずくまる』ように雑木林に埋もれ、自然の一部となっていく。

そのために1枚1枚、人の手で焼いた杉板と土地の赤土と真砂土、苦汁、消石灰を混ぜた土(版築)、墨を混ぜたセメントなど外装に使い、室内は『エゴマ油』を塗布した木材、ワラスサを混合した珪藻土、天然由来の水性塗料などで仕上げた壁、それらが時と共に風化し、より一層、この土地と一体化していく。