芦屋山手プロジェクト
Project by: ©Studio Curanzio
Collaborators: CG by ©2014-2021 massimociani.com – Project by ©Studio Curanzio
Date: 2021
Project location: 兵庫県
『豊かさを求めて』
この場所は眺望・空・光・風・自然・静寂など、恵まれた環境の土地である。その敷地に終の住処として機能する住まいを計画する。東から南に広がる大都市を望む遠景は、この住まいとの間に立体的な距離感を生み出す。このバラエティーに富んだ三次元的な広がりを住まいの中に取り込み、内外部空間の核となる「思いを巡らす詩的空間」として機能させるのである。
この綿密に計算された「シークエンス(変化する空間、デザイン)」こそ、そこに住まう人々の「豊かさの象徴」として住まいのそこここに配置されるべきものである。それは目に見えるものばかりではなく、刻々と変化する光や影が作り出す、満ち足りた空間の心地よさや、バニシングポイント(消化点)に向かって消えていく限りない静寂さであったりする。
また、背後に控える六甲山系の山々や、若しくは南東に広がる大阪湾から生まれ出流、微かな湿り気を含んだ風達が、敷地内の植え込みや、各フロアのテラスに置かれた植物の葉を揺らし、時には煌めく水盤の波紋や、木陰に見え隠れする室内風景、立体的に立ち上がった外部空間などを心地よく撫でていく。それはかすかな微睡(まどろみ)を誘う居心地の良さでもあり、何物にも代えられない、真の豊かさの象徴、言い換えれば「絶対的幸福感」そのものではないだろうか。