LA MAISON BLANCHE
Project by: ©Studio Curanzio
Collaborators: Photos by ©a.hukuzawa
Date: 2009
Project location: 大阪府
南仏の光と影には、その場所にいったものでなければわからない独特の匂いと色合いがある。その洗練された美しさに魅せられ何度も訪れた紺碧海岸。加藤シェフの料理には修行していた南仏のまさにその匂いと色合いが 一つ一つの皿に表現されているように思う。
今回シェフから新しいレストランと自宅を兼ねた建物の設計を依頼された。豊中という場所に根を下ろし、この場所をベースに新しい想像力溢れるフレンチの一皿を追求されようとするシェフの心の中を垣間見るには、まだ時間が不足しているが、設計を進めていく中で、どうしても表現したいことがある。それは『光と影』そして彼の人柄である。南仏のあの強く印象的な光をそのまま表現することは困難であるが、太陽光が水面や木立に反射して少し力を弱めた瞬間の、強さから優しさに変わろうとする『一瞬の光と影』を空間に表現したいと考えている。また日が落ちたあとの夕闇から刻々と漆黒に変化する、何気ない表情を空間のそこここにしつらえ、人々が感動する料理と料理の合間にふと視線をくべれば、仄かな暗闇の中にシェフの優しく温かい人柄をどことなく感じるような、おおらかでシンプルな空間をデザインすることを考えている。